Partager

37話 憎悪と怨念に蝕まれる心と、微塵もない反省の色

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-10-22 06:00:07

 ――その日々は、まさに“生き地獄”だった。

 過ちの報いは、終わることなく彼を縛り続けた。 助けを求めても届かず、悔いても戻れず、 彼の世界は、冷たい家族の無言と、自分自身の後悔によって塗りつぶされていく。

 家族たちが仕事に出かけて一人になると、問題の張本人――かつてのバカ貴族は、 小屋の隅で静かにユウヤへの憎しみを募らせていた。

 なぜ自分がこんな目に遭っているのか。 その原因を必死に――だが歪んだ視点で――考え続けていた。

 なぜ王族のユウヤが、護衛を少人数しか連れず、町を歩いていたのか? なぜ、あえて馬車を使わなかったのか? なぜ、そんな“隙”を見せていたのか……?

 考えに考えた末、彼は滑稽な結論にたどり着く。

 ――これは罠だった。 ユウヤは、将来脅威になるであろう“優秀な自分たち一族”を早めに潰そうとして仕掛けてきた。 そして、自分はその知略に嵌められたのだ――そう思い込んだ。

「……今回は、知略で負けてしまったが……次回こそ、復讐を果たしてやる……」

 そう呟きながら、彼は毎日、妄想に耽っていた。

 反省の色は微塵もなく、 心の奥底では、憎しみと怨念だけが静かに渦を巻き続けていた。

 それはもう、自分自身を蝕む毒のように―― 静かに、そして確実に彼を孤独の底へと沈めていく。

 大罪人となった彼には、数人の監視役が常に付き添っていた。 彼らの定期的な報告によって、王様と側近たちは、 ユウヤの語っていた“罰の内容”が、まさにその通り実現されていることに驚きを隠せなかった。

 王様自身、当初は「少々甘いのでは……」と懐疑的だったらしい。 しかし、現状を詳しく聞くにつれて、その考えは覆された。

 ――なるほど、これほどまでに精神を追い詰めるとは。

 家族に見放され、働くこともできず、孤独と怨念に沈む日々。 それは肉体的な苦しみではなく、じわじわと心を蝕む“生きた罰”だった。

 王様は感心したようにうなずきながら、静かに言ったという。

「それは……何というか、生地獄と言っても良いだろうな」

 国王が深い息を吐きながら呟いた。その声には、憐憫と同時に、ある種の戦慄が混じっていた。

「そうですね……自分は、何も出来ずに家で過ごして家事も出来ず家族の帰りを待つだけで、家族が帰ってくれば今回の原因となった本人が何もせずに家に居るだけなので、嫌味を言われ文句を言われ。家を嫌になって出ても行けない……出た所で、一人では生活は出来ない……」

 国王の後ろに控えていた宰相が現状を簡単に纏めて話すと、国王が頷き、感心した表情で宰相に向かって話した。宰相の言葉は、まるで彼の地獄のような日々を絵に描いたようだった。

「この罰を王国に取り入れるか……」

「そうですね……死罪よりツライ罰だと思われます」

 宰相は、表情を曇らせながら答えた。その声には、僅かながら恐怖の色が混じっていた。

「手足を斬り落として、命を助け釈放か……貴族ならば爵位の剥奪、財産の没収か。溜め込んでいた財産が入り国の財政も潤うな」

 国王の口元に、微かな笑みが浮かんだ。

「さすがユウヤ様ですな」

 宰相は深く頷き、ユウヤの慧眼に感嘆の声を漏らした。

「人柄も良く、頭もよく、性格も優しい……うちのシャルロッテの……旦那に是非欲しいところだが……ミリア皇女殿下の舵取り役で、婚約者なので手出しが出来ないのが残念だな」

 国王は、思わず本音を漏らした。その視線は、遠くを見つめるように虚空をさまよっている。

「それを口に出してはまずいです!ミリア皇女殿下のお耳に入ったら一大事ですぞ!」

 宰相は慌てて国王の言葉を遮った。その顔は、冷や汗で光っている。

「そうだった……気を付けよう……」

 国王は、ハッと我に返り、口元を手で覆った。

♢新店舗、盛況の滑り出し

 その頃ユウヤ達は、新しくオープンしたばかりの店にいて、開店準備と接客に追われていた。

 明日の開店予定だったが……実演販売をしたことと、王様やギルドマスターが来店するというサプライズもあり、店の前には大勢のお客さんが詰めかけていた。そのため、急遽、午後から販売を開始することになった。店の前には、開店を待ちわびる人々で長蛇の列ができており、その熱気は街の活気に拍車をかけている。

 店の護衛は四人もつけてくれていたが、それでも足りない状況になっていたため、王様に増援を頼み、最終的には十人の護衛が対応してくれていた。彼らは、押し寄せる客の整理と、店内の警備に追われ、額に汗を滲ませていた。

 やはり人気なのは、治癒薬と美容薬だった。 特に美容薬は、神秘的な効能が注目を集め、女性客たちは目を輝かせながら次々と購入していく。 まるで一滴で肌に魔法が宿るとでも信じているかのような熱気だった。

 状態異常の治癒薬も、そこそこ売れてはいたものの―― その真価がまだ十分に理解されていないのか、客足は伸び悩んでいた。 だが、俺にははっきりと確信があった。

Continuez à lire ce livre gratuitement
Scanner le code pour télécharger l'application

Dernier chapitre

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   90話 おっちゃんの豹変と満面の笑顔と満足感

    「幸運なのですかね……金や権力があった方が良いですが、それが目的で付き合って無いので、金や権力が無くても一緒に居られれば幸せですよ。お金なら俺も持っていますし稼いでますしね。権力が無くても暮らせますよ」 ユウヤは、湯船の縁に頭を預け、夜空を見上げながら淡々と語った。その声には、物質的な豊かさよりも、心の平穏を重んじる静かな意志が宿っていた。「そうか……金や権力が無くても大切にするのだな?」 おっちゃんは、ユウヤの言葉の真偽を確かめるように、じっとその瞳を覗き込んできた。「勿論ですね……権力は、むしろ邪魔ですね、のんびりと暮らしたいので……」 ユウヤが少し困ったように笑いながら言うと、おっちゃんは目を丸くして、腹の底から響くような声で笑い出した。「変わった奴だなぁ! 普通は死物狂いで権力を手に入れようとしている奴等ばかりだぞ?」 だろうね~普通は。でも俺は、権力に魅力を感じないしなぁ……何でだろ?自分でも分からない。前世の記憶があるからか、それとも今の自由な身の上が気に入っているからか。「俺の考えは参考にはならないですね」 ユウヤは、気恥ずかしさを隠すように、お湯を掬って顔を洗った。「いや、それはそれで、珍しい考えで興味があるな。それで、その女と結婚をする気はあるのだろ?」 おっちゃんは、面白そうに目を細め、さらに踏み込んだ。その視線は、若者の覚悟の深さを推し量るかのようだった。「えぇ、ありますよ……婚約してますし。……好きなので」 ユウヤは、暗闇に紛れて赤くなった顔を隠しながら、はっきりと答えた。ミリアやシャルロッテの、時折見せる年相応の笑顔や温もりを思い出すと、自然とその言葉が口を突いて出た。「だったら要らないと言っている権力も付いてくるが良いのか?」 おっちゃんは、現実的な問題を突きつけるように、鋭い問いを投げかけた。その声は、

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   89話 ユウヤの幸福論と権力への無関心

    「夜に、ちょっと温泉に入りたくなりまして……」 ユウヤは、湯船に浸かったまま、平静を装って答えた。「一人でか?」 ヤバそうな人物は、ユウヤの言葉を吟味するように、低い声で問い返した。(あ、モンスターが出るんだっけ……普通は、一人ではこないか……) ユウヤは、自身の不注意を思い出し、内心で舌打ちした。「一応、冒険者をしているのでモンスターとの戦闘は問題ありません。日頃の疲れを癒やしに温泉に入りにきました」 ユウヤは、自分の職業と目的を簡潔に伝え、警戒心がないフリをした。「そうか……モンスターが活発になる、こんな夜中に温泉に入りに来るとは相当な強者なのだな。そういえば、ここに来る途中にモンスターが道端に大量に倒されていたな……」 その人物は、冷めた視線でユウヤを値踏みするように見つめ、ユウヤの通ってきた道の状況を指摘した。 その人物の胸には、昔受けたデカい刀傷の跡が、暗闇の中で薄っすらと白く見えた。それは、彼がただの強者ではないことを示す、凄絶な過去の痕跡であった。(いやいや、そっちの方が強者っぽいですけど……! やっぱり兵士のお偉いさんかな……? 顔も暗闇の中で薄っすらと見えるけど、今までに会った中で一番強そうで恐いな) ユウヤは、相手から発せられる重圧に警戒心を強めた。(あぁ、言われてみれば、倒したモンスターを放置してきちゃったな。ちょっと……不味かったかな?) ユウヤは、後始末を忘れたことに冷や汗をかいた。(それで、他の人は温泉に入っている気配は無さそうだけど……周囲に展開している気配からして、この人の護衛なのか……?)「それで道に転がっていたモンスターは、お前の仕業なのか?」 その声は、断定的な響きを含んでいた。

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   88話 山奥の天然露天風呂と最高のご褒美

     ムッとした表情のシャルロッテが玄関で出迎えてくれた。彼女は、両腕を組んで、不満げにユウヤを見上げていた。シャルロッテは、ムッとしていても頬を膨らませて可愛いオーラを出しているので、ユウヤにはたまらなく可愛く感じてしまう。(その……ぷくぅと膨らませた柔らかそうな、ほっぺを触りたいんですけど) ユウヤは、衝動的に手を伸ばしたくなるのを、必死に我慢した。「もお、遅いですわぁ……」 シャルロッテは、玄関先で待ちくたびれた様子で、膨らんだ頬をさらに膨らませて訴えた。「別に、遊びに行っていた訳では無いのですわよ」 ミリアは、冷淡な視線をシャルロッテに向け、自分の正当性を主張した。「分かっていますけれど……お姉様は、ユウヤ様を独り占めし過ぎですわっ」 シャルロッテは、嫉妬の炎を隠さずに、切々と訴えかけた。「こうもウルサイのなら、婚約を認めるんじゃなかったかしら……」 ミリアは、一瞬、ゾッとするような冷たい声で言い放った。 シャルロッテは、その言葉にハッとした表情になり、ユウヤの腕に慌ててしがみついた。その手には、強い焦燥感が込められていた。「ううぅ……ヒドイですわ……ユウヤ様からも、お姉様に抗議をしてくださいっ」 シャルロッテは、ユウヤに甘えるように助けを求めた。「はぁ~……俺が居ないと、二人は仲が良いのに困るよな~」 ユウヤが呆れたようにため息をつきながらそう言うと、二人は一瞬顔を見合わせ、ミリアが申し訳無さそうに言ってきた。「すみません。本当に仲が悪い訳ではないのですが……からかってしまって」 ミリアは、わずかに頬を赤らめて、視線を逸らしながら小声で謝罪した。「はい……おふざけですわ」 シャルロッテも、ユウヤの腕から離れ、

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   87話 ユフィリス自身の意思と国王の安堵

    「何で、ミリアが勝手に決めるんだよ」 ユウヤは、自分の意思を無視されたことに、少し苛立ちを込めて言った。「ユウヤ様なら、お分かりになられるでしょう?」 ミリアは、ユウヤの置かれている立場と政略的な必要性を暗に示し、諭すような目線を向けた。「まぁ……分かるけどさ。また、相談もされてないんだけど?」 ユウヤは、理解はできるが不満は残るという表情で、不服を唱えた。 ミリアが俯いて、また怒られるという表情で、申し訳無さそうに言い訳をしてきた。「相談をしても答えは変わりませんし、必要ないかと……ユウヤ様が要らないと言うのであればお断りいたしますけれど……?」 ミリアは、俯いたまま、小声で言い訳をした。その声には、自分の判断への絶対的な自信と、ユウヤの機嫌を損ねたくないという気持ちが混ざっていた。「今回は、良いけど次回からは相談をしてよ」 ユウヤは、ミリアの性格を理解し、強く叱責する代わりに、今後のルールを明確にした。「はい……分かりました……」 ミリアは、心底安堵したように顔を上げ、素直に頷いた。 ミリアは、今まで文句を言われず自分の考えた通りにしてきて、相談をするという習慣がなかったから仕方ないけど、慣れてもらわないと。ユウヤは、ミリアの行動原理と彼女を変えていく必要性を静かに認識した。 今回のミリアの考えは、話からすると多分だけど、弱小の王国の娘は要らないと言っていたので、強い王国の娘をもらい裏切らないようにする意味と忠誠の証なのかな?王様も娘を差し出す見返りもあるだろう、皇帝の一族の側室になれば恩恵もあるんじゃないかな……。まあそれに……今回は幼い少女で無害と判断をしたのかもね。ユウヤは、ミリアの打算的な戦略と安全性の評価を冷静に分析した。「本人のユフィリスは、嫌がってるんじゃない?」 ユウヤは、政略結婚に巻き込まれる少

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   86話 二人きりの時間を望むミリアの苛立ち

     どこでって……前世で歴史とゲーム、アニメ、映画、ドラマで学んだとは言えないよな。ユウヤは、脳裏に浮かぶ大量の知識の源をどう説明するかに、一瞬思考を巡らせた。「え? 独学だけど……」 ユウヤは、当たり障りのない言葉を選び、曖昧に誤魔化した。「独学ですか? 独学では領主経営学を学ぶのは必要ないですし無理だと思いますけれど……ですがユウヤ様なら可能なのかもしれませんわね」 ミリアは、ユウヤの発言に疑いを持ちながらも、彼の非凡さを考えればあり得ると、無理やり納得しようとした。 良く考えてみれば、領主経営なんて独学で学ぶのはおかしいよな……。領主になる予定や貴族で領主の側近で働く予定がなければ無駄な知識だし、そうであっても独学では無理か……。書物等売っている訳じゃないし、領主が貸してくれる訳もない。ユウヤは、この世界の常識に照らし合わせ、自分の発言の不自然さを再認識し、冷や汗をかいた。 今ならミリアとシャルロッテと婚約したので、これから勉強するからと言えば、国王は喜んで書物を貸してくれるし、優秀な先生の手配をしてくれるだろうけど。ユウヤは、現在の立場が、自分の不自然な知識を後付けで正当化できることに気づき、少し安堵した。「薬屋をやってると色々な風変わりなお客さんが来て話をしてくれてさ、興味があったから話を聞いているうちに学んだって感じかな」「そうでしたか」 とっさの言い訳だったけど、ミリアは納得してくれた様で良かったが、国王を放っておいて良いのか?一応この国の王様だぞ?ユウヤは、目の前で繰り広げられる権力構造の逆転に、内心で首を傾げた。「ミリア……王を放っておいて二人で話すのは、どうかと思うぞ?」「そうですか? なにか問題あります?」 ミリアが怪訝そうな顔で国王の方を見て確認をすると、国王は顔を青ざめさせ、慌てた様子で両手を振って否定をした。「問題などありません。私を気にせずお話を続けてください」

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   85話 虚偽の言い訳と謀反同等の処罰

     まあ、普通は貴族からお金を出させるとか、寄付金を募るとか思っているんだろうけど……ユウヤは、彼らの甘い認識と、自分がこれから行おうとしていることの根本的な違いを認識した。「ふざけるな! 横暴だ! 貴族の監禁は重罪だぞ!」 上級貴族の男が、激昂した声で会議室の扉の向こうから叫んだ。彼の顔からは、さっきまでの余裕が完全に消え失せていた。「監禁では無く……証拠隠滅阻止、調査の妨害防止の為の一時的な投獄です。罪状は王国のお金の私的な使用の疑いなので、解決するまでの間は我慢していてください」 ユウヤは、冷静に、しかし断固とした口調で法的な論理を突きつけた。「なんだと? そんな証拠はないだろ! 推測で貴族を投獄するなどありえん! すぐに開放しろ!」 男は、さらに声を荒らげた。急に貴族達の顔から余裕が消えて慌てだしたが、国王が毅然とした表情で兵士に命令をした。 「直ちに執行せよ!」 その声を受けて、訓練された上級兵士や騎士たちが次々に会議室へ入り、大声で抗議する貴族たちを迅速に拘束して投獄した。応接室と会議室を隔てる扉が閉ざされ、激しい怒号と抵抗の音が遠ざかると、室内は再び静かになった。「では、毎回税金を納めていない貴族と、納めている貴族を教えてください。真面目に税金を納めている貴族は関係ないので開放してあげてください」 ユウヤは、静まり返った室内で、落ち着いた声で国王に次の指示を出した。その声は、一切の私情を挟まない、公正な判断を求めていた。 国王は、恐る恐る、税務に関する資料を提出した。 税金を減額申請をしている領地、納めていない領地の資料を調べて、ミリアとシャルロッテが馬車を駆り、足早に領地を見て周り、領民からも話を聞いた。その結果、25の領地の内、15の領主が不正をしていて、豪邸に住み、領民からの酷い噂ばかりが報告された。強制的に調べた結果、不正の事実が確実であると確認でき、国王の厳命により、爵位の剥奪と全財産の没収が実行された。 それと、モンスターが出現してというのは真っ赤なウソですぐにバレた&hell

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   53話 王子の悪びれない告白

    「そう怒らずにお願いしますよ。可愛い顔が台無しですよ、ミリア様」 イケメン王子は、ミリアが皇女であるにもかかわらず、全く恐れる様子がない。自分に絶対の自信があるのか、それとも元来こういう性格なのか……。ユリシスとシャルロッテは、そのただならぬ空気に緊張して、二人のやり取りを見ていた。「不愉快ですわっ!」 ミリアが、怒りに満ちた目で睨みつけるが、イケメン王子は平然としていた。それどころか、その平然とした態度に、見ていたシャルロッテとユリシスの方が、ミリアの反応と表情を見て怯えていた。ユリシスは、昨夜と全く雰囲気の違

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   51話 久しぶりの抱擁と安堵の香り

    「……意思が、ありますから勇気を出してキスをして欲しいと言ったのですわよ……」 その声は、恥じらいと真剣さが入り混じり、か細く震えていた。ミリアは、潤んだ瞳で俺を見上げている。「あ、そうか……だよな。分かった」 俺は、ミリアの真摯な想いに触れ、ゆっくりと体を起こした。膝から頭を離すと、背中まで届く淡いサラサラの金髪が、滑り落ちるように肩を伝った。その髪から、彼女の甘い香りがふわりと漂ってくる。狭い馬車の中で、二人の顔がゆっくりと近づいていく。互いの吐息が、温

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   49話 女子会で忘れた恋人の時間

    「ですわね……本当の妹の様な感じですわね」 その言葉を聞いて、シャルロッテは、一瞬で表情を曇らせた。そして、何かを思い出すように、静かに話し始めた。 シャルロッテは、少しだけ顔を曇らせて、続けた。「でも、お姉様が怒ると、とても恐いのです……」 その言葉には、過去にミリアの怒りに触れた時の、具体的な恐怖が蘇っているようだった。「誰でも怒れば、恐いのではないのですか?」 ユリシスは、ミリアを庇うようにそう言った。彼女から見れば、ミリアはただの

  • 異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。第二章   48話 帝国を支える皇女の責任感

     純粋な疑問を投げかけるシャルロッテに、ユリシスは悲しそうに微笑んだ。「普通は、そうなのですが……レスニー王子は、自分が気に入ると、人でも物でも自分のモノにしたくなる方で、かなり強引で手段を択ばない方なので……恐いのです」「それは……上に立つ者ですと危険ですわね」 ミリアは、王女としてその言葉の持つ意味を察し、冷静に分析するように言った。「うわぁ……最低ですわね……そんな王国イヤですわぁ

Plus de chapitres
Découvrez et lisez de bons romans gratuitement
Accédez gratuitement à un grand nombre de bons romans sur GoodNovel. Téléchargez les livres que vous aimez et lisez où et quand vous voulez.
Lisez des livres gratuitement sur l'APP
Scanner le code pour lire sur l'application
DMCA.com Protection Status